泡沫投資家ノディの米国株入門

インフレに勝ちたい

【読書感想文】『地域金融機関における資金運用の高度化』は現代ポートフォリオ理論の実践書

こんばんは、ノディでございます。

「 地域金融機関における資金運用の高度化」を読みました。

信用金庫で10年以上資金運用の担当をされてきた編著者が日本の地域金融機関に向けた資金運用の意義と実践方法を記述しています。

地域金融機関における資金運用の高度化

地域金融機関における資金運用の高度化

 

 投資家、それも米国株に投資している人向けの本ではありませんが、読み物として興味深かったので紹介します。

 

 

大まかな構成としては、

日本と地域金融機関が抱える問題と課題の認識。

現代ポートフォリオ理論に基づく、投資戦略の策定

投資対象の実務

の3本立てとなっています。

為替ヘッジなど個人投資家が実行するのがまず不可能な内容もありますが、米国ETFのような身近な商品の記述もあります。

 現代ポートフォリオ理論とは

個人投資家にとっては本書で一番需要な箇所は現代ポートフォリオ理論の章です。

資金運用における理論、現代ポートフォリオ理論は、すでにできあがってからかなりの時間が経ち、(中略)さまざまな問題が提起されているものの、これにかわる理論がないこと、また完全ではないにしろ、いろいろなことを相当程度十分に説明が可能であることから現代ポートフォリオ理論に沿ったポートフォリオを実行する意義は十分にあると考えられる。

現代ポートフォリオ理論とは期待収益率をなるべく低いリスクで実現するために実施されるものです。

なお、リスクとは資金運用ではリターンの不確実性を言い、標準偏差で表されます。一般にリスクとリターンは相関関係にあるとしています。

さらに値動きの異なる資産を複数持つことでリスクを減らす事ができます。

本書では例として2005年~2008年の国内債券と海外債券の組み合わせによる分散投資効果のグラフが掲載されています。この期間、国内債券8割海外債券2割の比率の場合。国内債券10割よりもリターンは上がるが、リスク(標準偏差)は減少しています。

このような分析を期間を変えて、各資産組み合わせごとの分散投資結果を比較しています。

近年は各資産の相関が強くなってきている

本書の中ほどになると各資産の相関関係の推移が載っています。2008年2月からのリーマンショックを挟んで2015年8月までの間の資産ペアの相関を知ることが出来ます。(すべて日本円換算)

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縦軸の数字が1.00に近いほど相関が強い事を示しています。

リーマンショック後は日本含めた先進国株式の相関は強く。新興国であれば比較的弱いということがわかります。ただ、どの時期を取っても分散の効果は無いと言ってもいいほど相関関係は強いです。

本格的に景気が回復してきた2015年あたりからはどの資産も似たような値動きをし、株式に限らず分散の効果が薄れていることが分かります。

債券であれば分散の効果は見込めますが、国内債券クラスを個人向け国債とすると金利の低下(価格は上昇)の恩恵が無くなるので注意したいところです。

国内債券インデックスの投資信託の信託報酬を節約するために個人向け国債を買うと分散の意味がありません。国内債券が必要と感じた時点で生活防衛資金が不足しているのでその分積み足してください。

現代ポートフォリオ理論との付き合い方

本書にはポートフォリオの「正解」は当然掲載されていません。金融機関の経営方針や本業の健全性で取れるリスクが異なるからです。

個人投資家も勤め先の業績変動、本人や家族の傷病リスク、住宅ローンや学費などがリスク許容度を左右するため、万人向けの正解はありません。

そもそも、毎期毎年の決算が存在しない個人投資家にとって、現代ポートフォリオ理論は不要だと思っています。住宅購入の頭金や結婚資金、子供の学費の全額も含めて資産運用しているような状態はギャンブルです。

個人投資家にとってのリスクは価格変動ではなく、景気が悪化し、収入が途絶える状況になって、泣く泣く虎の子の株を損切る羽目に陥ることです。

住宅や結婚資金の捻出には自分のコントロール下にありますが、突然のリストラからの損切りは自分でコントロール出来ない取引です。

切羽詰まっています。

米国高配当株投資家が目指しているのはリスク(標準偏差)・リターンのバランスではなく、キャッシュフローや再投資後の内部収益率の最大化です。月々の資金収支には最大限の管理を徹底し、本業からの収入が一時的に途絶えても問題ない現金を運用資金とは別に既に持っているはずです。そこに現代ポートフォリオ理論が入る要素はありません。

私の投資戦略に現代ポートフォリオ理論は不要であると思っていますし、実践することも無いでしょう。

 

ここ1年でマクドナルド(MCD)の株価が3割以上上昇したからといって「マクドナルド株はハイリスクだ」と主張する人は居ないと思います。

株価の変動リスクが債券などに比べて高い事は事実ですが、株主に帰属する配当というキャッシュフローは安定しているので、売らない限り無視してよいリスク(標準偏差)です。優良株を保有し続ける事は簡単で、心理的に楽です。ボラティリティの耐性が自然と高くなります。

本当のリスクはマクドナルドの業績が長期にわたって低迷し、将来の配当まで低迷し続けると雰囲気で判断して損切りすることです。正しいと思われる判断が下せるよう、業績やニュースへの感度を高くすることが重要になります。

 

現代ポートフォリオ理論が有効な方は、リスク許容度を把握しきれていない初心者と、将来必要だが預金では機会損失が気になるという資金を持っている方には丁度良いのではないでしょうか。

長期投資家ではあるものの、リスク許容度の把握に自信の無い方にもオススメです。

個人向け国債を含めないようにバランスファンドかロボアドバイザーのようなファンドで運用するのが手間もかからず良いでしょう。

自分でこだわって納得したポートフォリオを構築したい方は、本書を参考にすると良いかもしれません。

グラフが沢山あって興味の無い方でもそこそこ楽しめる本だと思います。

5400円とちょっと高いですが...

 

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